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代表者挨拶



2017年 年頭所感 「それでも愚直に地域に根ざした建設業を続けます」

株式会社山田組
代表取締役

山田厚志

1. 「転換」の年だった2016年

 昨年(2016年)は私にとっても本業の会社にとっても一つの転機となる年でした。まずなんと言っても昨秋の当社会長山田茂夫の逝去は大きな出来事でした。多くの皆さんには、改めて生前に故人がお世話になりましたことをお礼申し上げます。

「山田茂夫お別れの会」当日の様子
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 故人は、享年88歳と天寿を全うした生涯の多くの時間を現在の当社の根幹づくりに費やしました。今から考えれば遥かに粗野で危うい名古屋の建設業界で頭角を現し、会社の信頼と名声を上げることに成功した傑物でした。その人物の下で多くの時間を共有できて私は幸運だったと思いますし、その影響力は大きいものでした。
 建設の世界に飛び込んだ全く畑違いの私がなんとか大過なくここまで歩んでくることができたのも、世間では皆さまの温かいお引き立て、そして社内では山田茂夫の厳しくも懐の深い育て方、その両方のおかげであり、感謝の念しかありません。
 一方、私の転機と言えば、昨春に地元建設業協会の会長職を辞したことがまず挙げられます。分不相応な重職に戸惑いながらも必死に務めた9年間は得難い体験の連続で、苦しいながらも今となれば充実した時間でした。今後はその経験で得た知見や人脈などを活かして自社のかじ取りに専念せねばと思っています。
 分不相応な会長職を降りたらこれまた分不相応にも昨秋、黄綬褒章を受けました。
「斯業発展に貢献」と褒状にある段階には到底至っておりませんが、これもまた社内外の皆様のご支援の賜物と重ねてお礼を申し上げる次第です。受章を機にさらに一層、何事にも意欲的に取り組む所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。


2. ローマ時代の皇帝か現代の建設業者か

 さて、話題を本業の公共建設業の目下の状況に移しましょう。
 政府主導の景気浮揚策として直轄工事発注量の下げ止まりは実現していますが、当社の主たる顧客である地方自治体の事業量は相変わらず減少傾向が止まりません。少ない工事を競合して入札すれば、当然落札率は下がります。健全な価格競争自体は悪いことではありませんが、採算分岐や工事品質を度外視した応札でも受注可能な一部自治体の調達の仕組みの存在は、行政主導のダンピング助長策と批判されても仕方ない状況です。当社にもその弊害は確実に及んでおり、あらかじめ適正な利益額を捨てて施工に当たる工事は年々増加しており、健全経営は極めて困難です。
 そんな厳しい現場条件下でも当社の大半の工事は利益を生んで完成しています。この事実は当社社員の優秀さを物語るものとして特筆に値すると思いますが、不幸にして直近の決算期には2件の現場で合計4千万円を超える欠損が発生しました。
 当社の社員をもってしても防ぎきれなかった多額な工事原価超過の原因は、主に発注者側の不作為の過失にあったと当社では分析しています。地元や関係諸機関との調整不足あるいは未調整、設計と現場の不一致と当社社員の新たな設計図書の作成による費用と手待ち時間の発生等々、発注者の怠慢や官側担当者の技能不足によって当社が被った実害は極めて大きく、誠に遺憾です。
 発生した被害は発注者からは「元請け責任」「請負業の宿命」などと突き放され、協力会社・外注先等からは「適正価格の支払い」の請求を突き付けられて、結局は元請け業者である当社が金銭的解決をする以外に方策がないケースが大半です。
 かつてローマ時代のインフラストラクションは皇帝が自費を投じて整備したと敬愛する塩野七生さんの大作『ローマ人の物語』にありますが、現代の日本でも私たち建設業者は私費を投じて公共工事を完成させているのです。こうした地域建設業者の存続を危うくする皮相的な現実は、もはや「原価管理能力の不足」といった指摘を遥かに超える社会的問題であると、この場を借りて強く訴えたいと思います。

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3. それでも公共建設業を続けていく理由

 「多額の欠損が生じるなら、いっそ転廃業してはどうか」…そんな声も聞こえてきそうです。しかし私は先代が遺したこの仕事を簡単にやめたり変えたりするわけにはいきません。いやむしろ、積極的に今後も続けていこうと決めているのです。
 その理由はいくつかありますが、ここでは大きく3つ挙げておきましょう。

@企業文化として根付いた利他的精神ゆえ

 過去の「代表者挨拶」で既に書きましたが、当社の仕事である公共建設とは税金を元手に官が発注する「地域課題の解決策」です。上下水の布設、道路の新設、護岸の嵩上げ・補強…等々、受注する当社は自社のサイト内で物を製造するわけではなく、そうした課題を抱える地域に直接乗り込んで行ってその場所で物を造って納めます。つまり公共工事とは最初から最後まで他者との密接な関わりの中で調整に次ぐ調整を図りながら地域住民に供する施設を完成させる極めて公共性の高い、それゆえ利他的精神に富む仕事です。その仕事に60年余り携わってきた当社には、困難な仕事にこそやりがいを見出し、決して屈しない精神がしっかりと根付いているのです。

当社技術者が奮闘する建設現場の一例
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A地域の期待に応える仕事ゆえ

 地域課題を解決する本業はもちろんのこと、そのほかにも公共建設業者には官や地域から多くの期待が寄せられています。例えば災害時。官からの連絡を受けていち早く災害現場に駆けつけて復旧活動に当たるのは私たち地域の建設業者です。
 世に言う〈公助〉が決して行政の力だけではなく、官の要請を受けて献身的な働きをする建設業者の力も含めたものだということも、過去にこの「代表者挨拶」で述べました。官の力、すなわち〈官助〉には限りがあります。災害が多発する昨今、私たち建設業者は行政の現実的な力である〈官助〉と市民が期待する〈公助〉の差を埋める働きをしています。これもまた利他的精神の為せる技、公共建設業者とは地域を守るためにやめるわけにはいかない仕事なのです。

12回を数える当社の企画・運営協力による地域防災大会の様子から
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B本業を支える「3つの力」があるゆえ

 当社には本業のような「大きな商い」ではありませんが、それぞれに本業を支える「リフォーム事業」「デザイン・プランニング事業」「都市内アグリ事業」の3つ「小商い」があります。
・リフォーム事業
 「地域で長年堅実な商売をしている山田組だから」とおっしゃって、多くのお客さまが当社リフォーム部門に仕事を依頼されます。良い仕事が次の仕事を生む好循環を体感できる民間工事に携わることで、社員は公共工事では会得し難い商売の醍醐味や主婦層との交流など貴重な学びを得ています。

リフォームショップ店内
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・デザイン・プランニング事業
 当社では30年前からデザイン・プランニング等を生業とする子会社を擁しています。「公共建設業とデザイン会社」…なんとも唐突に感じるかもしれませんが、従来「説明や発信が苦手」だった建設業だからこそ、アウトプット部門を内に持つことに意味があると当社は考えています。例えば現場で必要な広報物などはほとんど内製できる大きな強みは、外注による時間的ロスをなくし、工事原価面でも有利に働きます。

専門工事業の担い手育成イベントの企画・運営の様子から
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・都市内アグリ事業
 名古屋市内で唯一、農地を借用して都市農業に取り組む企業…それが当社です。名古屋市守山区内に約7500uの農地を借りて、主に果樹栽培に取り組んでいます。都市農地は農作物の生産地であるばかりでなく、子ども達の食育や農業体験の場でもあり、当社CSR活動の魅力的なフィールドでもあります。さらには都市農業活性化を推進する自治体からの評価も得ています。

当社の都市農業の地「天空のアグリパーク」
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取り組みの評価が都市公園の指定管理業務にも繋がっています
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 以上3つの「小商い」は売り上げこそ僅かなものですが、それぞれが当社の存在感を高め、「地域社会に必要不可欠な企業」という評価獲得に貢献しています。リフォームもできる、内製でデザイン・プランニングもできる、おまけに自社農園も持ち都市公園の管理も担う…こんな魅力に富む地域建設業者は全国にもあまりないと自負しています。だからこそ今後も本業の公共建設業にこだわって、社業発展に努めていきたいと考えているのです。

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4. むすび…2017年、さらに「行政を変える力」をつけていきます

 当社は創業62年を超えて地域に必要不可欠な建設会社に成長したと自負しています。しかし行政や地域社会からの評価によって会社の存続が約束されるわけではありません。本業で利益を生まなければ〈公助〉の持続的な担い手としての人材や資器材の確保も無理です。前述したよう自助努力も継続していきますが、やはり公共事業の発注者たる行政には「適正な入札システムを構築して工事利益を保証し、地域の安心安全に貢献する優良な建設業者を育成していく」という〈社会責任調達〉の誠実な履行を強く求めていく所存です。
 加えて市民やNPOの皆さんにも、社会資本整備の原資となる納税者の責務として「地域貢献に活発に取り組む地元建設業者から公共調達すべき」という声を行政に向けて大いに発していただくよう様々な機会を通じて訴えていきます。
 そしてなにより、皆さんから「山田組を応援しよう」「山田組が言うなら間違いない」と思ってもらえる建設会社になるべく、今年も一年、力をつけていきます。

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